卓球で圧倒的な強さをほこる世界王者・中国。日本はこの強敵を倒すことを長年の悲願に据え、卓球界を挙げて選手強化に取り組んできた。リオデジャネイロ五輪でも、打倒中国なくして日本の金メダルはあり得ない。
特に女子団体は、銀メダルを獲得した2012年ロンドン五輪以上の結果を求められている。その大きなプレッシャーの中、大一番に臨むのはエースに成長した石川佳純(全農)と最年長の福原愛(ANA)、そこに弱冠15歳の超新星・伊藤美誠(スターツ)を加えた新たな布陣。狙うのは「最低でも銀メダル」と3人が口をそろえる。
シングルス決勝が終わった翌日、12日から始まる団体戦はポーランドが初戦の相手だ。順当に勝ち進めば、強豪国の一角であるドイツと準決勝であたる。ドイツに勝てば、決勝の相手は中国でまず間違いない。ちなみに団体戦はシングルス2試合、ダブルス1試合、シングルス2試合で行われ、先に3試合を取ったチームに軍配が上がる。
日本女子チームの基本オーダーはシングルスで石川を2点起用し、ダブルスには福原・伊藤ペアを起用。残りのシングルスに福原、伊藤を使うと見られる。エースの石川はロンドン五輪以降、積極的に男子ナショナルチームと練習を積み、左利きならではの特殊な回転にパワーをつけてきた。チームの軸になるのはやはり、石川。その脇を五輪出場3度目で経験豊富な福原、15歳とは思えない強靭なメンタリティーと爆発力が魅力の伊藤が固める。
シングルスに出場する石川と福原は、それぞれ3回戦(7、8日)から登場。第4シードの石川は準決勝で中国のナンバー2・丁寧と当たるブロック。もし、そこで敗れたとしても3位決定戦でメダル獲得の可能性が残る。一方、第8シードの福原は準々決勝でフォン・ティエンウェイ(シンガポール)、準決勝でロンドン五輪の金メダリスト・李暁霞(中国)ら強敵と当たる厳しい位置に入った。
男子の筆頭は不動のエース・水谷隼(beacon・LAB)。第4シードのシングルスは順当に勝ち上がれば、準決勝で世界ナンバー1の馬龍(中国)と対戦する。ロンドン五輪ではシングルス、団体ともにメダルを期待されながら、プレッシャーから完敗した水谷。北京、ロンドンに次ぐ五輪出場となるリオデジャネイロでは、3度目の正直でメダル獲得に挑む。
その水谷と丹羽孝希(明治大学)、吉村真晴(名古屋ダイハツ)で臨む団体戦は、奇しくも女子と同じポーランドが初戦の相手。2回戦では油断大敵の香港と当たるなど、一戦一戦、厳しい戦いを強いられそうだ。
(文/高樹ミナ)