全米人気No.1の猫 人との絆が生んだ奇跡の実話

今、アメリカで人気No.1の猫がいる。
何と言っても、その最大の魅力は…舌を出したキュートな表情!
名前は「リルバブ」。
SNSに動画を公開すれば、再生回数はたちまち200万回を突破するなど、夢中になる人が続出。
しかもファンの中には、ハリウッドスターのロバート・デニーロや、ウーピー・ゴールドバーグといった超有名人まで。
今や、テレビやイベントにも引っ張りだこの、スターキャットなのだ。

だが、リルバブが多くの人を魅了するのには、可愛いルックスだけではない、ある特別な理由があった。
余命僅かの子猫と、人生を諦めかけていた男…その出会いが、思わぬ奇跡を起こした。

今から七年前、マイク・ブリダフスキーは、レコーディング・エンジニアとして働く傍ら、インディーズバンドのギタリストとして活動していた。
若い頃から大好きな音楽での成功を夢見ていたものの…一向に鳴かず飛ばず。
安定した収入からは程遠い状況だった。

さらに…スタジオの賃料や家賃の滞納などで、積もり積もった借金は、800万円(7万5千ドル)にのぼっていた。
しかし、マイクさんは自分はミュージシャンだからと、アルバイトもしようとしなかった。
意識が高いわりに、大して努力もしない。
30歳を前にして、マイクさんは人生を投げ出しかけていた。

そんなある日のこと。
昔の音楽仲間から連絡があり、会いに行くと…友人は捨て猫をマイクさんに引き取って欲しいという。
生後およそ2ヶ月、雑種らしきそのメスの仔猫は、体も小さく、衰弱しきっていた。

実はマイクさんは以前、引き取り手の無い捨て猫を一時的に預かった事があり、それを知った友人が頼って来たのだ。
マイクさんが断ると、子猫を保健所に連れていくしかないという。
そして…結局、子猫を引き取ることにした。

それから、試練の日々が始まった。
お腹を空かせた子猫に、数時間おきにミルクをやらねばならず…ところ構わず、おしっこもする。
想像以上に、手間がかかった。

さらに…餌のミルクを与えた時だった。
なぜか子猫の舌が出たままになっていたことに気がついた。
しかも、生後3カ月を過ぎたにもかかわらず、身体の大きさに殆ど変化が見られなかったのだ。

気になったマイクさんは、子猫を病院に連れて行った。
すると…この子猫は、子猫症かもしれないという。

子猫症とは、身体の成長が極度に遅れる遺伝性の疾患。
大人になっても、身体が子猫のように小さいままのことが多い。
そのため、顎の骨が発達せず、上手く食べ物を摂取出来なかったり、骨盤が小さいことで、頻繁に便秘になったりと様々な症状が出る。
子猫の舌が、出たままになっていたのも、子猫症によるアゴの発達障害が原因だと思われた。

実はアメリカでは、動物医療にかかる費用は、日本より遥かに高額。
1週間の入院費だけでも、100万円近くかかることも珍しくなかった。

それでも、マイクさんは子猫を見捨てることができなかった。
鳴き声が小さかったことから、マイクさんは子猫を、小さい声を意味する『リルバブ』と名付けた。

こうして風変わりな子猫との奇妙な共同生活が始まった。
すると…最初は仕方なく世話をしていたマイクさんも…いつしか、リルバブの可愛さに惹かれて行った。
売れないミュージシャンと、いつまで経っても小さいままの捨て猫は、なぜかウマがあった。
3ヶ月、半年と月日が経つうち…いつしか彼らは、無二の親友のようになっていった。

そしてリルバブと出会ってから、およそ1年が経とうとしていた頃。
リルバブに異変が!
部屋の隅でうずくまったまま動かなくなっていたのだ。

そして検査の結果、衝撃の事実が発覚した。
リルバブの下半身は骨盤からつま先に至るまで、全ての骨が異様に太くなっていたのだ!

医師の診断は、大理石骨病。
本来、骨は骨を溶かす破骨細胞によって、絶えず一定の量だけ溶け…その分、新しく骨を形成する骨芽細胞が働き、元の形を維持している。
しかし、大理石骨病になると、破骨細胞の機能が阻害される。
そのため、必要以上に骨が再生され続け、異常に太くなってしまう。
その結果、神経が圧迫され、関節に激しい炎症などが起きるのだ。

さらに、本来骨髄がある内部も骨によって侵食されるため、免疫機能が極端に低下。
感染症などの合併症を起こしやすくなり、死に至るケースも多い。
人間の場合でも10万人に1人という難病だった。

通常、人の大理石骨病には骨髄移植が用いられるが、猫の骨髄移植自体、普及しておらず、治療法そのものがなかった。
リルバブは、あと4ヶ月もつかどうかだと医師は言う。
その上、関節の炎症を抑えるステロイドや鎮痛剤…症状を和らげる薬だけでも、実に500万円以上かかる計算だった。
すでに、800万円もの借金を抱えたマイクさんにとって、到底支払える金額ではなかった。
医師は、安楽死も考えた方が良いという。

その時のことをマイクさんはこう話してくれた。
「リルバブは身体が不自由でも一生懸命に生きようとしていました。だから、諦めることは出来ませんでした。自分に出来る事は全てやろう、そう思いました」

それからというもの、徐々に食べ物が摂取出来なくなっていくリルバブの世話を献身的に行う一方、レコーディング・エンジニアとして、それまでの倍以上の仕事をこなした。
友人たちにも、借金をするため頭を下げて回った。

さらに、嫌がっていたアルバイトを始め、必死に治療費を工面しようとした。
全てはリルバブの為に…だが、そんな努力も、焼け石に水。
いくら働いても、治療費はかさむ一方だった。

さらに追い討ちをかけるように…ついに彼女にも見捨てられてしまった。
その間も、リルバブの容体はどんどん悪化。
既に歩くことすら、困難になっていた。
命のリミットは刻一刻と近づいていた。

だが…その頃、リルバブのために力になりたいという申し出が全米から殺到していた。
一体、どういうことなのか?

実は…マイクさんは治療費を工面する一方で、リルバブのブログを作成していた。
そこにリルバブの境遇と病状を綴り、『何か良い治療法はありませんか?』と問いかけていたのだ。
さらに、少しでも注目を集めようと手作りのTシャツを作成、その画像もアップしていた。
すると、リルバブの愛らしい写真がネット上で大きな話題に。
障害に負けず、懸命に生きようとするその姿が、多くの人々の共感を呼んだのだ。

しかし、この頃には、リルバブは身体を動かすことも困難になり、じっとうずくまる日が増えていった。
マイクさんは必死に治療法を探し続けた。

そんな時、ある一通のメールに目が止まった。
『近所の人のペットが、アシス・ループという器具を使ったところ、色々な障害が緩和されたそうです。試してみては?』
ブログを見た、リルバブのファンから寄せられたメールだった。

アシス・ループとは、患部に磁気を当て、細胞を活性化。
体の治癒力を促進する、ペット用の医療器具である。
もちろん、これまで大理石骨病の治療に使用されたことはなく、症状が改善する保証など、どこにも無かった。

余命数ヶ月を宣告されたリルバブ、残された時間は、わずかしかなかった。
それでも、マイクさんは諦めなかった…わずかに差し込む希望の光を信じて運命に抗うことをやめなかった…全てに投げやりだった若者の姿は、もうどこにもなかった。

そして、命の期限とされた4ヶ月が経過。
リルバブは…何と走り回れるまでに回復していた!
奇跡的に病気の進行が止まり、関節の炎症も治まった。
マイクさんの思いに応えるように、リルバブもまた、必死に生きようとしていたのだ。

リルバブを診察していた、ウッドラフ医師はこう話してくれた。
「もちろん、アシス・ループの効果もあったと思いますが、マイクさんの献身的な看病も奇跡的な回復の理由の一つだと思います。」

ただ、小さな命を救いたい。
マイクさんの必死の思いが、治療不可能とまで言われた、リルバブの命を救ったのだ!

マイクさんの献身的な看病によって命を救われたリルバブ。
だが、奇跡はこれで終わりではなかった。
リルバブの境遇が共感を呼び、SNSのフォロワーが次々に増加。
動画を公開すれば、再生回数はたちまち200万回を突破した。

しかも、治療費の足しになればと製作したTシャツは、作るそばから完売。
関連グッズも合わせると、その売り上げは、何と3億円にものぼった!
人気はどんどん過熱し、テレビやイベントにも引っ張りだこ。
数多くのスターもリルバブファンを公言するなど、いつしか全米を巻き込む大ブームとなったのだ!

一方、人生を諦めかけていたマイクさんは…何と自身のバンドで、メジャーデビューしていた!
しかも2015年には、日本公演まで果たしたという!

そんな大スターとなったリルバブは、現在どうしているのか?
アメリカ、インディアナ州の、マイクさんの自宅を訪ねてみた。
マイクさんもリルバブも元気にしてた。

マイクさんはこう話してくれた。
「大理石骨病が完治したわけじゃないんですが、病気の進行は止まっています。しかも、こうして人気者になってくれたおかげで、ずいぶん暮らしも楽になりました。もしかしたらリルバブは、僕に恩を返してくれたのかもしれません。」

リルバブのお陰で、治療費などで出来た借金は完済。
ただ気になるのは、余ったお金の使い道だが…売り上げの殆どは、動物愛護団体などに寄付をしているという。

しかし、リルバブがもたらした幸運は、それだけではないという。
何とマイクさんは、4年前に結婚。
その後、2人の子どもにも恵まれたという。
実は、妻・ステイシーさんとは、リルバブが出演したイベント会場で出会ったのだという。

Close×