あなたならどうするSP アンビリバボーな決断の数々『大学生を襲った奇妙な出来事』


今から3年前の12月、当時 大学3年生だった野田翔太さんは、就職活動の開始を機に気の合う同級生と酒を飲み交わしながら夢を語り合っていた。
翌朝、始発電車で自宅へ。
乗ったのは、東京都立川市と神奈川県川崎市を結ぶ、JR南武線。

野田さんは、目的の駅に着いたと勘違いして、間違った駅で降りてしまった。
しかも、電車に乗る時にはあったはずのスマホがないことに気がついた。

落としたスマホを、すぐに探そうと駅員に相談。
乗っていた車両が折り返し、再びこの駅に戻ってくる時間を確かめると、戻ってきた車両に乗り込み、座っていた座席付近を探してみたが、見つけることはできなかった。

そして、自宅へ戻ると、ある方法を試してみた。
それはGPS機能を利用し、スマホが今どこにあるかを探すシステム。
すると…スマホの現在位置を示す印は、南武線の上を移動していた。
スマホはまだ車内のどこかにあるに違いない。

翌日もスマホを無くした車両の運行時間を駅員に聞き、棚やシートをくまなく探した。
また、終電後の車内清掃などで発見されていないかを問い合わせるも、見つからず。
自宅では引き続き、GPS機能を利用したシステムをチェック。
スマホは依然として南武線に沿って移動していた。
だが…現在地を示す印が突然消えてしまった。
スマホのバッテリーが切れたと思われた。

野田翔太さんは、当時のことをこう話してくれた。
「当時、就職活動をしていたので就職活動の予定や連絡先がその中に全部入っていた。それがなくなると困る。大学の写真は全部携帯で撮っていたので、それが無くなってしまったのはショックだった。」

諦めるわけにはいかない。今度は警察に紛失届けを出し、さらに…毎日、駅の窓口やJRの忘れ物センターに問い合わせ、落し物として届いていないか確認し続けた。
一週間 手を尽くしたものの、結局見つからず、大切なデータは諦め、やむなく以前使っていたスマホを代用した。

紛失から約1ヶ月後。
野田さんのFacebookに見知らぬ人物からの英語のメッセージが届いた。
横浜の大学生かと聞かれているようだった。
『What are you a student at the university Yokohama?(あなたは何? 学生 大学 横浜?)』

『そうです』と返信すると…
『What is your ID card?(あなたのIDカード 何?)』
そこには、野田さんがスマホと一緒に失くした学生証が添付されていた!

送り主は、オマットという謎の外国人だった。
すぐにオマットのプロフィールページを見てみると…インドネシアの人で、首都ジャカルタに隣接する都市に住んでいるようだった。
だが、Facebookを見る限り、日本に観光に来たという書き込みはない。

全く状況が飲み込めない野田さん…しかし、大切なメールや写真が入ったスマホは、この外国人が持っている可能性が高い。
そこで…『I want that!! could you send? Sorry,I am not good at ENGLIDH but, I feel very thanks for you. could you send it to YOKOHAMA university?(それ欲しい、送ってくれる? ごめん 英語は得じゃない。でもとても感じています。あなたに感謝を。それを横浜の大学に送ってくれますか?)』

英語は得意ではなかったが、簡単な英文でメッセージを送った。
相手の常用語はインドネシア語と思われたが、次の返信で…
『どのように私はそれを送信しますか?』
翻訳機能を使い、日本語でメッセージを送ってきたのだ。

その後もやりとりを続ける中で、野田さんの心境にある変化が…
野田さん「携帯電話は売ればお金になるのと思うので、売られてしまうのではないかと思っていました。その部分が心配だったので、何度か『僕の携帯は今どうなっている?』という質問を投げているのですが、その度に彼は写真とメッセージで『あなたの携帯は安心です』という日本語で送ってくれる。この人なら携帯は安全な状態で保たれているのではないかと、徐々に不安はなくなっていきました。」

どうやら悪い人ではなさそうだ。
ならば、彼に負担をかけないようにお金を送り、それを送料として使ってもらおうと考えた。
『Sorry, I do not understand(ごめん わかんない)』
自動翻訳の日本語と英語が混ざったやり取り、互いの意思は思うように伝わらず…
それでも、英語で再度メッセージを送ってみたのだが…英語がうまく伝わらなかったのか、『わからない』という返答だった。
失くしたスマホがせっかく見つかったのに、その地はインドネシア…こんな時、あなたならどうする?

就活もひと段落した6月、野田さんはアンビリバボーな行動に出る。
それは…なんとわざわざジャカルタへ、スマホを受け取りに行くというものだった!
野田さんはこう話してくれた。
「彼自身に信頼や興味を抱くようになっていたので、かつ、私の物を持っていてくれたお礼を伝えるというのが、会いに行くモチベーションのひとつにありました。」

そして、就職活動が終わると、野田さんはスマホ代より高い10万円の旅費を掛けてジャカルタへ。
連絡をくれたオマットさんと対面し、無事、スマホを受け取ることが出来た。
さらにオマットさんは、ジャカルタの近郊で暮らす26歳の社会人であることも分かった。
そして、予想通りの人柄で、野田さんを食事や観光地、土産物店へ案内してくれた。

オマットさんはこう話してくれた。
「せっかく日本から来てくれたんだから、いろんな所に連れて行ってあげようと思いました。」

スマホが海を渡った理由を聞いてみると、オマットさんは自分の職場の話をしてくれたという。
オマットさんの職場を訪ねると…電車の車両がある!
ここは【ジャカルタ首都圏鉄道会社】の整備場。
オマットさんは、車両を点検・清掃する整備士だったのだ。

車体をよく見ると、日本語の表記が…実は日本の鉄道車両は安全性が高いと評判で、中古の車両が南米やアジア各国へと送られている。
その最大の譲渡先がインドネシアなのだ。

実は、野田さんがスマホを無くした日の翌日が、あの車両の日本でのラストランだった。
その後、車両はインドネシアに渡り、オマットさんの会社へ。

しかし、ここで野田さんに新たな疑問が…日本で何度探しても見つけられなかったスマホが、なぜインドネシアに渡ってから見つかったのか?
オマットさんによると、日本から譲り受けた南武線の車両をくまなく点検していた時に、シート下のボックスにスマホが落ちているのを発見したという。

そして、ここにも意外な事実が隠されていた。
JRがインドネシアに車両を譲るようになったのは、今から14年前。
当初、インドネシアの鉄道会社は、メンテナンスや点検への意識が非常に低かったという。
だが、その意識を変えたのは、ある1人の日本人だった。

当時、JRから出向していた前田健吾さん。
その時、約200両の車両がすでに壊れてしまったり、動けなくなってしまっている無残な姿になってしまっていた。
そこで、前田さんを中心に日本から派遣された技術者がオマットさんたちインドネシアの整備士に、点検・メンテナンスの重要性を徹底的に指導。
前田さんの功績があったからこそ、はるか海を越えた日本からの落し物が、ジャカルタの整備士によって発見されたのだ。

スマホを失くしたことがきっかけとなり、奇跡の出会いを果たした2人。
だが、その後もアンビリバボーだった!
去年3月、オマットさんが結婚。
ジャカルタで挙式が行われた。
その式に…野田さんの姿が!
オマットさんたっての願いで、結婚式に招待されたのだ。

その後、オマットさんも野田さんに会うために来日。
もともと、日本の電車が大好きだったオマットさん。
駅や観光名所へ案内してもらい、友情を一層深めた。

そして今月、浅草・雷門前で待っていた野田さんの前に現れたのは…オマットさん一家だ!
去年10月に生まれたヒロくんを、ぜひ野田さんに会わせたいと来日したのだ。
今回は、妻・ディアンさんのリクエストで、ある場所へ人力車で向かうことに。

走ること30分、見えてきたのは…東京スカイツリー!
展望台に向かうエレベーターにも興味津々。
実はオマットさんの影響で妻・ディアンさんはすっかり日本好きに。
息子のヒロくんも好きになってくれるに違いない。

最後に3人はこう話してくれた。
ディアンさん「スマートフォンからこんな友情に繋がるなんて本当に夢のような話でとても感動しました。」
オマットさん「またジャカルタに来る機会があれば、家に遊びに来てほしい。」
野田さん「これからもずっと関係は続けていきたいなと思います。プライベートだけじゃなく、機会があれば一緒に仕事もできたらいいなと思います。(結婚式に)呼んでもらったので、僕も結婚式を挙げる時には家族で来てくれたらなと思います。」

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