世紀の大ウソつき

『運命の出会いで人生が激変した男』
今から2年前、アメリカ・ニュージャージー州。
その日、ケイトと彼氏のマークは、ある男性のことについて話し合っていた。
それは1ヶ月前、とあるキッカケで知り合った、ジョニーという名のホームレス。
彼は元海兵隊員で結婚もしていたのだが、出来心で手を出したドラッグにはまり、妻と仕事を失い、ホームレスになっていた。


2人は彼を助けてあげたいと考えたのだが、それほど裕福なわけではなかった。
だがその時、2人はあるアイディアを思いついた。
クラウドファンディングによる募金サイトを立ち上げ、サイトにジョニーと出会うきっかけとなったストーリーを掲載しようというのだ。


そこにはこう書かれていた…
その日、ケイトは友人を訪ねるため、1人車を走らせていたのだが…ガス欠になり立ち往生してしまった。
その時、声をかけてきたのがジョニーだった。
事情を話すと、ジョニーは所持金の20ドル全てを使って、離れた場所にあるスタンドからガソリンを買ってきてくれたのだ。
2人が、この出会いのエピソードをサイトにアップし、寄付を募ると…わずか1ヶ月で、日本円にして4300万円を超える寄付が集まった。
そのお金でジョニーは、トレーラーハウスを購入、ついに家を持つことが出来たのだ。


だが、物語はこれで終わりではなかった。
8ヶ月後、なんとジョニーは再びホームレスに戻っていた。
マークとケイトは、寄付金でトレーラーハウスを購入し、それをジョニーに渡すと、余ったお金のほとんどを自分たちのものとしたのだ!
結果、生活費が底をついたジョニーは、トレーラーハウスを売却、再びホームレスになった。


寄付金を横領した疑いがあるとみた警察が、2人の自宅を捜索。
すると…彼らの家から高級車やブランド物のバックが多数見つかった。
さらに、ギャンブルにも寄付金を使っていることが判明したのだ。


だが、さらに2ヶ月後、なんと全てがウソだったと報道されたのだ!
捜査の結果、明らかとなった真相は、次のようなものだった。
ギャンブル好きでお金に困っていた2人は、ホームレスを使い、なんとか稼げないか考えた。
そこで思いついたのが、ウソの美談を創作し、寄付金を募るという方法。
3人で口裏を合わせ、困っていた女性を助けたホームレスというウソのエピソードを作り上げた。


3人は、詐欺による窃盗と、窃盗の共謀罪で起訴され、ケイトとジョニーは罪を認めた。
判決は間もなく出る予定である。
一方、マークは計画の主犯格であり、2人よりも罪は重いとされたことを不服とし、争う構え。
裁判は長引くと考えられている。


『映像が語った真実』
今から12年前、車によるひき逃げがあったと通報があり、ある男が救急車で病院に運ばれた。
男は、脊椎損傷による下半身麻痺と診断され、車椅子生活を送ることになった。
彼の名は、ロベルト・グリエルミ。
不運な事故だったが、これにより障がい年金を受給。
介護士を雇えるようになったのは彼にとって救いだった。


事故から7年後、信じられない人物から電話がかかって来た。
ローマ法王である。
実は数ヶ月前、事故で障害を負ったこと、それが原因で妻と別れたことなど、辛い身の上を綴った手紙を送っていたのだ。
翌年、ロベルトはバチカンに招待され、法王と面会をはたした。
その出来事は地元紙に取り上げられ、話題となった。


だが、奇跡の面会から4年後の今年、イタリア全土に衝撃の動画が出回ることになる。
その動画は、ロベルトの自宅を写したもの…部屋に入ってきたロベルト、なんと普通に歩いている!
実は12年前、ロベルトはひき逃げにあったと病院に運ばれたのだが、それは真っ赤なウソ!
局所麻酔を両足に打ち、体を傷つけ、怪我を偽装。
ウソの通報をして病院に運ばれていたのだ。
さらに、そこでもらった診断書を改ざんするなど、様々な悪事を尽くし、ついに障がい年金の給付を受けることに成功する。


しかし、周りには彼を詐欺師と知っている者もおり、怪しまれることもあった。
そこで…彼は、障がい者と積極的に交流を持つことで知られるローマ法王に手紙を書いた。
法王と面会すれば、地元紙が取り上げるくらいのニュースにはなる。
これにより、自分が障がい者であると、説得力を持たせられると考えたのだ。


こうして、12年もの間、詐欺を行っていたロベルト。
しかし、先ほどの映像が世に出たことで、ウソが暴かれた。
撮影したのは、彼の介護士。
ロベルトは、あえて海外から来た経済的に困っている労働者を介護士として雇った。
たとえウソだとバラしても、仕事を失うことを恐れ、黙っているに違いない、そう考えたからだ。


しかし彼女は、次第に良心の呵責を感じるようになっていく。
そして…ついに耐えきれなくなり、警察に通報。
介護士から提供された証拠が…問題の動画である。
そして警察は、旅行から帰って来たロベルトを空港で逮捕。
不正受給した障がい年金は1600万円以上、ローマ法王をも欺いた大ウソは、こうして暴かれた。


『些細なミスで暴かれたウソ』
その日、マイアミの不動産王、ジェフリー・ソファー氏は、知人から紹介されたサウジアラビアの王族との商談に臨んだ。
名は、カリド・ビン・アル・サウド。
彼はソファー氏の持つ、マイアミのホテルの所有権の一部を440億円で購入したいと言う。
渡りに船の申し出だった。
なぜなら、そのホテル、実は赤字が続いていたからだ。
さらに、アラブの王子は600億円以上ある残高証明書を提出。
もはや、ソファー氏に断る理由はなく、契約はほぼまとまったも同然だった。


数日後、王子の秘書から連絡があった。
サウジアラビアでは、王族とビジネスを一緒にする際、敬意を示すために王族に贈り物をするしきたりがあるという。
ここで渋れば、商談を取り消されるかもしれない。
そこで、総額1500万円にも及ぶ、絵画や宝石類を手配した。
だがこの男、アラブの王子というのは真っ赤なウソ。
王族どころかアラブ人ですらなく、改名前の名を、アンソニー・ジニャックというアメリカ人だった。


ソファー氏は、契約をまとめるため、アラブの王子を食事に招待した。
だがこの日、ソファー氏はあることで、男が偽の王子だと見抜くことになる。
会食は和やかに終了。
だがこの時、すでにソファー氏はアラブの王子を偽物と見抜いていた。
彼は、警察に通報。
カリドは詐欺罪で逮捕された。


しかし、なぜバレたのか?
実は会食で、偽の王子は豚肉を食べていたのだ。
サウジアラビアの王族といえば、厳格なイスラム教徒。
イスラム教では、豚肉を食べることを禁じられている。
にも関わらず、ソファー氏の目の前で豚肉の生ハムを食べてしまい、詐欺が発覚したのだ。


この男、600億の偽の残高証明書はもとより、あらゆる書類を偽造。
相手の信用を得ると、巧みな話術で贈り物を要求したり、架空の投資話を持ちかけたりしていた。
最終的に26人のセレブから、およそ9億円をだまし取っていたという。


『病床で知った愛』
今から47年前、1人の男が交通事故を起こし、病院へと運ばれた。
全治6ヶ月の重症。
間も無く母親が病院に駆けつけた。
息子は2年前に家を出て以降、一度も実家に連絡を入れていなかった。
親子にとっては、久々の再会。
以来、怪我で下半身を動かせない息子のために、母親は毎日看病を続けた。


ところが、入院してからおよそ5ヶ月後…母親が看病を続けた相手は息子ではなかったことが判明!
この男は息子の元同僚だった。
男は、より給料の良い仕事につくため、運送会社への転職を考えていたが、車の免許証を持っていなかった。
そこで、同僚の免許証を盗み、自分の顔写真を貼って偽造し、運送会社に就職したのだ。


ところが、就職してから3ヶ月後、運転中に事故を起こし入院。
幸い、顔の包帯のおかげで気づかれなかったが、バレるのも時間の問題。
それでも、逃げようとしなかったのはなぜか?
幼い頃に両親を亡くしていた彼は、親の愛を知らなかった。
毎日看病してくれる母親にすっかり甘えてしまっていたのだ。


そんな時、お見舞いに来ていた兄の元に親戚が訪れ、別の場所で暮らしている弟を見たと告げた。
そしてついに、ウソがバレたのだ。
5ヶ月間、母親にウソをつき続けた男は、有印公文書偽造、窃盗などの容疑で逮捕された。
しかし、裁判では、生い立ちに同情すべき点などが考慮され、懲役2年、執行猶予3年の温情判決が言い渡された。


『サッカー界の生ける伝説』
かつて、サッカー大国ブラジルで数々の名門クラブを渡り歩いた伝説のストライカーがいた。
その男の名は、カルロス・カイザー。
彼も子供の頃は、他の子と同じようにプロサッカー選手を夢見る少年だった。
その後、一部リーグで優勝経験もあるブラジルを代表するチームのユースを経て、16歳の時には、メキシコのクラブでプロの選手となった。
順風満帆なサッカー人生を歩んでいたが…試合に一度も出場することなく、すぐクビになってしまった。
なぜなら…カイザーはサッカーが下手だったのだ!


しかし、ここからカイザーは伝説となる!
なんと彼は、実力がないにも関わらず、20年以上、プロサッカー選手として数々の名門チームを渡り歩いたのだ!
今回、我々は伝説の男、カルロス・カイザーとの接触に成功。
その驚きのテクニックを語ってもらった。


メキシコのクラブをクビになり、ブラジルへと戻ったカイザーは、地元リオデジャネイロのクラブを中心に、短期契約で自身を売り込んだ。
短期契約ならば、たとえ失敗でも損失は少ない。
クラブ側も契約には前向きだった。
当時は、簡単なプレー動画しかなく、クラブ側も映像を重視していなかった。
名門ユースや海外チームに所属していたという彼の経歴を聞き、テストなしで雇って判断しようと考えたのだ。


そして、練習に参加するようになると、すぐに怪我をしたフリ。
さらに、偽の診断書を作成してもらい、怪我が本当であると見せかけた。
こうして、練習にも試合にも出ることはなく、契約期間を終え、すぐに退団したのだ。
その後、再び 別のクラブに自らを売り込み、短期契約で移籍。
そしてもちろん、すぐ怪我したフリ。
だが何度も繰り返せば、この作戦もバレてしまう。


新たな手段に出るため、彼が向かったのは…夜の街。
カイザーは、事前に有名なサッカー選手が多く集まる場所をリサーチし、彼らに近づいた。
そして、彼らと仲良くなり、クラブを紹介してもらおうと考えたのだ。
選手たちもカイザーのプレーを見たこともなく、サッカーの実力も知らなかった。
しかし、経歴は申し分なかったため、彼を信頼して深く考えず、紹介を約束した。


しかし、知り合いの紹介だけでは、移籍できるチーム数にも限界がある。
そこで…契約せずに練習生としてかつての所属クラブに戻ることにしたのだ。
そこにはある目的があった。
記者に練習生として支給されたノベルティやチームの裏の情報を渡す見返りに、自分がスーパースターであるかのような記事を書かせた。
これで新たなクラブを開拓していったのだ。


しかし、そんな彼が窮地に立たされたことがあった。
それは…カイザーがバングーというクラブに所属していた時のこと。
チームのオーナーは、彼のことをスーパースターと信じ込み、大変 気に入っていた。
そのため、怪我が完治していないと伝えたにも関わらず、急遽、短時間での出場を命じられてしまった。
監督も承諾し、途中出場しなくてはいけない状況に…
すると、突然、カイザーはスタンドに向かい、観客にイチャモンをつけて乱闘騒ぎを起こしたのだ。
結果は、退場処分。
こうして、試合に出ずに済んだ。


しかし、さすがのオーナーもこれには怒り心頭。
クビは免れないかと思われたが…カイザーは「観客はオーナーのことをバカにしたんです。それがどうしても許せなくて」と咄嗟にウソをついた。
すると、オーナーは、給料を倍にして契約も延長したのだ!
そう、カイザーは「足ワザ」ではなく、巧みな「口ワザ」を駆使して、チームやファン、選手を騙し、20年以上プロのサッカー選手を続けることができたのだ。


彼は、2000年代初頭に引退。
生涯でおよそ4億円稼いだと語っている。
そして、引退からおよそ10年後、自身のウソに塗れた経歴を告白。
すると…サッカー史上最強の詐欺師として人気者に。
その半生を描いた映画まで作られた。


しかし現在、カイザーにある疑惑が浮かんでいる。
告白したエピソードの中にもウソがあるというもの。
スタッフが「あなたにはいくつかの疑惑があるようですが…」と質問をぶつけると、カイザーはこう答えた。
「それは俺をウソつきにしたいやつが勝手に言っているだけだよ。俺は真実を語っている。とにかく言えるのは、俺みたいなサッカー選手はいないってことさ」

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