ミステリー謎解き3時間SP【後編】

ミステリー謎解き3時間SP【後編】


【銀行強盗訓練と間違えた銀行員】
中国地方のとある銀行。山田陽子さんは少しおっちょこちょいな銀行員だった。
そんな、ある日…拳銃を持った強盗が押し入ってきた!
行内はパニックに!
銀行は人命を優先するため、男の指示通り、すぐに現金を用意。
強盗は現金2800万円を奪い、逃走した。


通報を受けた警察がすぐに駆けつけ、事情聴取が行われた。
パニックになっていた職員たちの記憶は、あいまいなものばかりだった。
そんな中…「身長は160センチくらいで、細身でした。黒いジャンパーに黒いズボン。靴は灰色、年齢は30代くらいでヘルメットから見える眉が少し太かったです。」
他の銀行員がパニックに陥り、記憶があいまいな中、山田さんは強盗犯の特徴を正確に答える事が出来たのだ!
なぜ彼女は犯人の特徴をはっきりと覚えていたのか?
このミステリーの真相、わかりますか?


実はこの銀行、定期的に強盗を想定した訓練を行なっていた。
そのため山田さんは、今回の強盗事件も抜き打ちの訓練だと思っていたのだ!
だからこそ、強盗が大声を出そうが、拳銃を突きつけようがすべて演技だと思い、まったく恐怖を感じなかった。
そのおかげで強盗犯は直ぐに逮捕された。
普段は勘違いの許されない銀行業務。
しかし今回ばかりは、奇跡的に勘違いさまさまとなった事件でした。


【見えざる犯罪者! 怪人と呼ばれた女】
今から13年前、ドイツ南部の風光明媚な街、ハイルブロンで…平和なひと時を一瞬にして打ち砕く事件が起こった。
平日の午後2時、広場の道端に停まっていたパトカーの中で警官二人が頭を撃たれているのを通行人が発見。
女性警官は死亡、同乗していた男性警官は、一命は取り留めたもの重い障害が残り、事件のことは何も覚えていなかった。
現場からは手錠や拳銃が奪われていた。
犯人は至近距離から2人の頭を打ち抜いたと推測された。
また動機については…男性警官が以前、麻薬組織へ潜入、取り締まりを行っていたことから、組織が見せしめのために殺害した可能性が高いと思われた。


パトカーから犯人のものと思われるDNAが検出された。
当時、ドイツでは、個人を特定できるDNA鑑定が、犯人逮捕の証拠として実績を上げ始めていた。
理論上、全く同じDNAを持つ別人がいる確率は、4兆7000億分の1。
DNAが検出されたということは、犯人逮捕へ確実に近づいたも同然だった。


DNA鑑定の結果、犯人は東欧系の女性であると判明。
さらに驚くべき事実が明らかになった。
その人物はドイツ各地で起きた幾つもの事件と関係していたのだ。


最初の事件は遡ること14年、ハイルブロンから北東へ200km離れた閑静な住宅街で起きた。
被害者は年金生活者の女性。
部屋でフラワーアレンジメントを作っていたところ、その作業に使う針金で首を絞められて殺害された。
金目のものはほぼ奪われていた。
そして、遺体の横にあった、空のティーカップからDNAが検出された。
それは、警官銃撃事件で発見されたDNAと同じものだった。
その8年後、ハイルブロンより南西に約百キロ離れた山あいの街で…骨董商の男性が、絞殺死体で発見された。
凶器は庭にあった紐と判明。
そして現場のキッチンから検出されたDNAも…ハイルブロンでの警官銃撃事件のものと同じだった。


過去の2つの殺人事件の共通点は、絞殺であること、そしていずれも現場に押し入った形跡がないことだ。
これらの状況から警察は、犯人像をこう推測した。
絞殺するということは、よほど腕力に自信があり、また、争った跡がないことから、被害者とは顔見知りであるに違いない、と。
いずれにしても、警官銃撃事件とは様相がまるで違っていた。


怨恨と思われた老人2人の殺人事件と、麻薬組織の復讐と思われる警官襲撃事件。
警察は全く共通点を見出せずにいた。
そんな中…6年前、とある森林に捨てられていたヘロインの注射器からも、同じDNAが検出された。
これを受け警察は、DNAの女は麻薬中毒者ではないかと考えた。
だが、そんな中…盗難車から同じDNAが検出された。
さらに、過去の未解決事件の遺留物に関するDNA捜査が進み、同じ犯人が関与したと思われる数々の事件が判明。
警官銃撃事件の地名から、この犯人は「ハイルブロンの怪人」と名付けられ、連日報道された。


警察はその威信にかけて、目撃証言、手がかり、足取りを追い求めたが有力な情報は掴めない。
そんな彼らをあざ笑うかのように…警官銃撃事件の翌年、ハイルブロンの隣街で、女性看護師が溺死体で発見されるという事件が発生。
何と彼女の車からも「ハイルブロンの怪人」のDNAが検出されたのだ!
実に15年もの間、約40の犯罪現場に姿を現した「ハイルブロンの怪人」。
犯行現場はバラバラで、その目的もわからない。
一体、犯人は何がしたいのか、まるで見当がつかなかった。


そこで警察は次なる手段に出る。
これまでは過去の事件で現場に残された遺留品からDNAを抽出、一致する人物がいないか、洗い出す作業を行ってきた。
そこから捜査の対象を、ホームレスや薬物中毒の女性といった人物にまで広げ、彼女たちからDNAを採取したのだ。
その数、実にのべ3千人以上。
しかし結果は…「ハイルブロンの怪人」とDNAが一致する人物は、誰一人としていなかった。


警官銃撃事件から、2年近くが経った2009年。
フランス国境にほど近いドイツの街で、夜、学校に少年たちが侵入、コンピューターなどを盗んだ窃盗事件が発生。
遺留品を調べたところ、少年達が現場に残した清涼飲料水の缶から…ハイルブロンの怪人のDNAが検出されたのだ。
しかし、少年たちは、罪は認めたものの、女の共犯者がいたことは否定。
飲み物は、学校に忍び込む前に近くの自動販売機で購入したという。
謎が謎を呼ぶ、ミステリアスな連続犯罪。
果たして、ハイルブロンの怪人とは、一体何者なのか?


行き詰まった警察は、新たな可能性を探った。
検査官のミスを疑ってはみたものの、やはりそんなことはありえなかった。
そこで、警察はある場所を調査することにした。
1週間後、警察が確保したのは71歳の老女だった。
彼女は東欧出身で、ドイツ・バイエルン州にある工場で働く従業員だった。


この工場では、主に商品の包装や梱包を行なっていた。
老女は、知らなかった…ドイツ中を恐怖に陥れた、連続犯罪者。
それを生み出したものこそ…彼女が働く工場で包装されていた…この綿棒だということを。
工場の作業員たちは手を消毒し、手袋をはめて作業をしていた。
だが老女は、綿棒を包装する工程を、素手で行っていたため、作業中に、汗などからDNAが混入したと考えられた。


こうしてハイルブロンの怪人を生み出した原因は明らかとなった。
しかしこの後、驚くべき事実が…老女の働いていた工場に包装を依頼した綿棒のメーカーが、『DNA鑑定に使用するのは適切ではない』と説明書に記載していたと表明。
警察の大失態が浮き彫りとなったのだ。
実は工場で包装していたのは、実験などに使用するための綿棒。
包装時にも手袋をするなど気を遣っていたのだが、仮に素手で触ったとしても、包装後、さらに電子線による滅菌処理工程があるため、通常使用の範囲では、衛生上の問題は全くない。
しかし、細菌は死滅するがDNAの痕跡は残ってしまう。
すなわち犯罪捜査での使用に適していないものだった。
にも関わらず警察は、この綿棒をメーカーから仕入れ、DNAの検出に使用、その際、老女が働く工場で包装されたものが含まれていたのだ。
結果、鑑定の際、綿棒に付着していた老女のDNAがまれに検出されることになってしまった。
もちろん老女は一連の事件に関係しておらず、彼女が罪に問われることはなかった。


ちなみに薬物中毒の女性など、3千人規模で採取が行われた時、老女のDNAが出てこなかったのは、偶然だと考えられている。
いずれにせよ当時、最新の科学捜査であったDNAに頼りすぎたことが捜査の失敗につながってしまった。
2人の警官銃撃事件は、この時、使用された銃と、その後、発生した銀行強盗で使われた銃が同じものだったことが判明。
犯人はネオナチと呼ばれる、テロ組織のメンバーだったことがわかった。
当初「ハイルブロンの怪人」の仕業と思われた事件は、それぞれが別の犯行であり、未解決のものばかり。
ドイツの捜査官達は、今も必死に真犯人を追い続けている。


【靴箱がおこした奇跡】
今から9年前、タイレルはどこにでもいるアメリカの高校生だった。
ある日、Facebookに「友達申請」が届いたのだが…送り主は、ジョアナ・マーチャンという女性。
全く聞き覚えのない名前だった。
さらに…その女性が暮らすのはフィリピン…今まで訪れたこともない。
何となく気味が悪かったため、最初は無視しようと思った。
だが…好奇心には勝てなかった。
Facebookで調べてみると、自分よりひとつ年上の女性であるようだった。
思い切って、メッセージを送ってみることにした。


ミステリーの真相はすぐに明らかとなった。
12年前のクリスマスを控えたある日、その年、彼はサマリタンズパースという国際支援団体のプロジェクトで、恵まれない子どもたちにクリスマスプレゼントを贈る活動に参加した。
どこの国のどんな子に届くのだろう?とわくわくした記憶はあったが、それも12年前の一時的なもの…すっかり忘れてしまっていた。
ジョアナは、タイレルからプレゼントを受け取ったという。
そして、タイレルが自分の人生を変えてくれたと言うのだ。


プレゼントの中身は安価なおもちゃや、文房具など…それが人生を変えたなど、何かの悪戯としか思えなかった。
そこで、タイレルは箱に何が入っていたか教えて欲しいとジョアナにメッセージを送った。
ジョアナからの返事は、…「木製の壁を背景に微笑んでいる可愛いカウボーイの少年の写真が入っていた」というものだった。
実は、このプレゼントには贈り主の写真を入れる、という決まりがあった。
そして、12年前タイレルが入れた写真は…投げ縄を携え、木製の壁を背にして、カウボーイを意識して撮った一枚だった。
ジョアナは受け取った者にしか分からない写真の存在を言い当てたのだ。


アメリカから遠く、1万キロ以上離れたフィリピンのケソン市郊外。
貧しい家庭に生まれ育った、六人兄弟の次女・ジョアナ。
彼女は、数えきれないクリスマスプレゼントの中から、タイレルの靴箱を受け取った。
箱に入った文房具やおもちゃは、もちろん嬉しかったが…カウボーイ風の格好で微笑む遠い異国の少年に…小さな胸は、淡くときめいた。
そして、貧しい生活の中、ささやかな贈り物を贈ってくれたタイレルは、心の支えであり続けたのだ。
なぜなら…遠い異国の地に暮らす少年タイレルが暮らす、アメリカという国は、どんなところなんだろう。
そんなことに思いを馳せるうちに、自然と勉強にも前向きに取り組めるようになったからだ。


それから10年余り。日々勉強に励み、生活にも多少の余裕ができたジョアナ。
ようやく入手したパソコンを使って、プレゼントを贈ってくれた彼に感謝の思いを伝えたいと、Facebookを探し当て、連絡したのだ。
長年の思いが叶い、感謝の気持ちを伝えることができたジョアナ。
その日から2人は、Facebook上でやりとりをする様になった。
すると、共に敬虔なクリスチャンであることが判明。
さらに…好きな音楽や趣味など、共通点がたくさんあることもわかった。
まるでずっと前から友達だったかのように、すぐに打ち解けたのだ。


それからおよそ一年、定期的にやり取りを続けた。
そして…直接会いたいと思うようになった。
だが…タイレルは高校卒業を控えていたが、大学進学の費用が工面できず、数ヶ月後、建設会社への就職が決まっていた。
それでもタイレルは、お金を貯めて、ジョアナに会いに行くことを決意していた。


だが…ジョアナの両親は二人が親交を深めることに難色を示していた。
父は、ジョアナのことをとても大切に思っていた。
だからこそ娘に大変な思いをしてもらいたくないと、地元の若者との堅実な結婚を望んでいた。
またフィリピンには、男女交際に関する様々な伝統もあった。
例えば結婚の際には、新郎側が家族とともに、新婦の一家を訪ね承諾を得る儀式を行う。
中でもジョアナの家は伝統を重んじる一家であり、父親の意向を無視することは出来なかった。


それから半年後、タイレルはフィリピンにやって来た!
彼の滞在期間は10日間…タイレルはジョアナの父から、二人で外出する許可を何とか得ることができた。
10日間、二人は同じモノを見て、笑った。
折りに触れ、タイレルの優しさを感じたジョアナ。
何気ない一瞬は、いつしか、かけがえのない時に感じられるようになっていた。
これまで、自分にプレゼントをくれたサンタのような存在だった、タイレル。
でも今は違う…彼は間違いなく、白馬に乗って迎えに来た王子様だ。
ジョアナは恋に落ちていた。
しかし夢のような時間はあっという間に過ぎ去った。


そして、空港での別れから約半年、ジョアナの家にいたのは…両親と話す、タイレルだった!
実は彼はアメリカに戻った後、両親を説得し…半年間、渡航費用を捻出するため働き続け、再びフィリピンにやってきたのだ。
そして、ジョアナの両親にタガログ語でこう言った。
「ジョアナさんとの結婚を許していただけないでしょうか?」
両親はこれを承諾してくれた。
その後二人は、記念写真を撮る為、ジョアナの妹を連れヒマワリを見に出かけた。
そこで、妹が二人の動画を撮っていた時のことだった…突然、タイレルがひざまずき、プロポーズ!
ジョアナはそれを受け入れた。


半年後、タイレルは父親と共に、ジョアナの家族を訪問。
それは、最終的な結婚の許可を求める「パママンヒカン」というフィリピン伝統の儀式である。
その時、ジョアナの母はタイレルとその父にこのように語った。
「あなた達は異なる文化を持っています。ですが私たちの伝統を尊重してくれました。もしお父様がここに来られなかったら、最終的に、結婚を認めることは出来なかったかもしれません。」
その5ヶ月後、タイレルとジョアナは、結婚式を挙げた。
場所は、アメリカ・アイダホ州のタイレルの実家の裏庭、ジョアナのドレスは古着で5ドル。
だが、そんなことは問題ではなかった。


そして現在、2人の元を訪ねると…一人息子のハーラン君とともに、暖かく迎えてくれた。
タイレルさんが州立公園の整備の仕事を行っているため、彼らはキャンピングカーで様々な場所を移動しながら生活をしている。
そして、生活費に余裕がある時は、ジョアナさんの故郷フィリピンに仕送りをしているという。

二人はこう話してくれた。
ジョアナ「とても幸せです。希望を捨てず生きてきたお陰で、大好きな人と一緒になることができたのですから。
タイレル「育った環境が違う人に出会った時、考え方や文化の違いに戸惑うかもしれません。でも、互いを尊重し、尊敬することが出来れば、その出会いはきっと、誰にとっても素晴らしいものになると思います」


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