坂東三津五郎さん すい臓がんで死去
今月21日、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんが すい臓がんのため59歳で亡くなった。
歌舞伎の名門に生まれた三津五郎さんは6歳の初舞台以来、芸の道に邁進。
2012年、同い年で、若いころから芸を競い合った盟友、中村勘三郎さんが亡くなった際、三津五郎さんは声を震わせ こんな言葉でその死を悼んだ。
「肉体の芸術ってつらいねぇ。そのすべてが消えちゃうんだもの。本当に寂しい…」
きのう報道陣の取材に気丈に答えた長男の巳之助(みのすけ)さん(25)には、かつて、父・三津五郎さんと反目していた過去がある。
父への反発は徐々に高まり、17歳で歌舞伎の世界を一度離れたという。
しかし、その後、再び歌舞伎に戻ってきた息子を、父は暖かく迎え入れた。
闘病中にも関わらず、死の直前まで後進の指導に当たっていた三津五郎さん。
半世紀以上の歳月をかけて磨き上げた「肉体の芸術」は、父から子へと受け継がれていったのだろう。
最期の瞬間、三津五郎さんは家族に囲まれ、笑顔で旅立っていったという。
国際ジャーナリストの竹田圭吾さんは、人が世代を超えて伝えていく事の大切さに思いをはせる。
竹田「僕も大きい病気した後に周りの人にいろんなことを伝えなくちゃいけないと思ったんですね。歌舞伎の場合は芸の継承があるので、三津五郎さんは僕よりも何倍もそんな思いがあったと思います。勘三郎さんが亡くなった後の、長男の勘九郎さんや次男の七之助さんの生き様とか、きのうの巳之助さんの話とか聞いていると、最期の時間は短くても、それまでに父親から伝わったものはとても大きくて、今の歌舞伎界は大変だと思うけど、先々新しい歌舞伎を作ってくれるんじゃないかという期待を感じます」
三津五郎さんの葬儀告別式は、明日 青山葬儀所で執り行われる。