あんなに揺れたのに…緊急地震速報鳴らなかったワケ
土曜日…日本全国が揺れた。
午後8時23分、M8.1の巨大地震が発生。
この地震では、北海道から沖縄まで47都道府県すべてで震度1以上を観測した。
これは気象庁の観測史上初めて。あの東日本大震災でもなかった現象だという。
東京都内では7000余りのエレベーターが停止。
Jリーグの試合も中断。山手線やゆりかもめなどが運転を見合わせ約3万人に影響が出た。
にもかかわらず、なぜか緊急地震速報が出なかった…なぜなのか?
スタジオで、東京大学地震研究所の青木陽介助教が解説する。
青木「地球で起きる地震で最も深い場所で起きた地震だった、
というのが原因です」
今回の地震は小笠原諸島の西側で発生し、震源地の深さは なんと682qだという。
青木「おそらく気象庁は震源が深かったということで、大した揺れにはならないだろうと予想し緊急地震速報を出さなかったのだろうと考えられます。過去の例では、非常に深いところで起きた地震では大きな揺れはほとんどありませんでした」
しかし震源地に近い関東地方では震度5強・5弱を観測した。
青木「今回の地震は太平洋プレートの深いところで発生しました。
プレートと呼ばれる部分は固く、地震波が減衰(=弱まる)しにくいため、
大きな揺れが遠く離れた太平洋側の陸地まで
あまり弱まらずに伝わったのだと思われます。これを『異常震域』と言います」
5月に入って震度5以上の地震は全国で4回起きている。
さらに先週金曜には鹿児島県口永良部島の新岳が突然噴火するなど、
最近 地震や噴火が相次いでいるが関連はあるのだろうか?
青木「今回の地震はかなり深いところで起きたので、他の地震との関連はないと思われます。東日本大震災の余震でもありません。一つの火山活動が地震を誘発したり、別の火山の活動を誘発することは基本的にはないんです。ただ、かなり大きな地震でしたので、日本中の火山が揺すられたため、活発化するという可能性はあります」
では口永良部島の火山活動はいつまで続くのか?
青木「しばらく続くと思います。金曜日の噴火でマグマがあまり出てないことが分かってきました。新岳の下にはマグマがまだ残ってる。また同じような噴火か、もっと大きな噴火をする可能性があります」
防災は他人ごとではない。
口永良部島の噴火では、島にいた137人の住民全員が、犠牲者を出すことなく わずか6時間で全員隣りの屋久島に避難できたが、これは日ごろから車の向きを道路の側に向けて駐車するなどの準備があったために可能だった。
今だからこそ、私たちも“何か”が起きる前提で備えをしておきたい。