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月9『トレース~科捜研の男~』で、
ベテラン刑事・虎丸良平を演じる
船越英一郎さんにインタビュー!
船越英一郎(ふなこし えいいちろう)さん
1960年7月21日生まれ。神奈川県出身。82年、TBS日曜劇場『父の恋人』でデビュー。その後、数々のドラマに出演し、「2時間ドラマの帝王」などの異名を持つ。また、「ごごナマ」(NHK)のMCほか、バラエティ番組にも多数出演。アニメ・漫画ツウで、『刑事コロンボ』マニアとしても知られる。
現在放送中の月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』で、錦戸亮さん演じる科捜研法医研究員・真野と対立するベテラン刑事・虎丸良平を演じる、船越英一郎さん。意外にも月9初出演となる船越さんに、期待の高まるドラマへの意気込みなどをうかがいました。
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虎丸との共通点は、「誰にも負け
ない」と思って生きてきたこと
船越さんが月9初出演とは意外でした。虎丸刑事役のオファーを受けたときはどんなお気持ちでしたか?
伝統ある「月9」さんからお話をいただいたということに、ちょっと驚きました。
僕が若い頃は、“月9が(ドラマの)メインストリーム”というイメージがありましたから。ただ、(2時間ドラマの定番舞台の)崖なんかは出てきませんし、なかなかご縁をいただけなかったんですけれども、今回お話をいただいて、「ついに渋い大人のラブストーリーに挑戦できるのか!?」と思いきや、世の中そんなに甘くないという…(笑)。
僕が若い頃は、“月9が(ドラマの)メインストリーム”というイメージがありましたから。ただ、(2時間ドラマの定番舞台の)崖なんかは出てきませんし、なかなかご縁をいただけなかったんですけれども、今回お話をいただいて、「ついに渋い大人のラブストーリーに挑戦できるのか!?」と思いきや、世の中そんなに甘くないという…(笑)。
船越さんの大人のラブストーリーも、見てみたかったです。
それは、ぜひ次回に(笑)。今回は、僕のライフワークでもありフィールドワークでもあるサスペンスを月9さんがおやりになるということで、どんな新しい味を持ったサスペンスになるんだろう、と。僕自身も、新しい地平を見る旅に出られるんじゃないか、というようなことを感じました。
月9の現場で、何か発見はありましたか?
現場で撮影している感触ですと、サスペンスの場合はもう何十年もやらせていただいてますから、だいたいこういう仕上がりになるだろう、というのが見えるんですけど、『トレース』の場合は、それが全然見えない。これはある意味、怖くもあり、でも本当に楽しみでもありますね。
ちなみに、サスペンスドラマの魅力はどんなところにあると思われますか?
2時間ドラマに関して言えば、さまざまなドラマの要素が凝縮されていますよね。犯人探しという、ミステリーの王道としての楽しみ。また、多くの場合、事件を起こしてしまった犯人側の方にも大きな事情がある。そこには、胸をえぐるような人間ドラマがあったりもするわけです。ほかにも、ホームドラマの要素があったり、作品によってはコメディーの要素も。当然、ラブストーリーも絡んできます。サスペンスという、ひとつのジャンルではあるけれど、そこにはあらゆるドラマの要素が凝縮されていて、それを多角的に楽しめるというのが大きな魅力だと思います。そういった要素は、『トレース』の中にもしっかりと盛り込まれていますよ。
今回、演じられる虎丸良平についての印象は?
ついに来たか、っていう感じです(笑)。どちらかといえば、これまでは熱血漢の刑事をやってまいりましたが、いつかはやってみたいと思っていたのが“定年が目の前にぶら下がった刑事”役。実年齢で言うと、僕も59歳になりますから、会社勤めをしていれば、来年ですよ、定年は。ひとつの区切りだと思うんですよね。職業人として、あるいはひとりの男として、人生の岐路が見えている。そこには当然、いろんな悲哀があると思うんですね。そんなものを背負った刑事というのは、これだけ長いこといろんなものをやらせていただいてきた中で、僕にとっては初めての挑戦になります。
ご自身と共通点はありますか?
「絶対誰にも負けない」という思いで生きてきたところかな。驚かれるかもしれないけど、どこかにそういう思いを持っていないと、どんなことでも40年近く続けるというのは難しいですからね。
そういった役どころで難しさを感じることはありますか?
「積み重ねてきたもののタイムリミットが、すぐそこに来ている」というのは、想像に難いことではないですよね。俳優という職業に定年はないにしても、ひとつの役を演じるということには、時間の限りは見えてくる。僕は今まさに、虎丸を演じながら、僕がドラマの中で現職の刑事を演じるっていう時間も、そんなに長くはないっていうことを味わっています。自分が、長くサスペンスドラマ、刑事ドラマを演じてきたっていう、それとオーバーラップするような思いを抱きながら、演じているような気がします。
演じる上で、どのようなことを意識していますか?
そうはいっても虎丸は、枯れた老刑事でもないし、何かを悟ったような男でもない。まだギラギラしていて、要するに叩き上げで憧れの本庁まで上がってきた熱血漢。ただ、もう今以上の出世はないんですね。となると、自分の限られた時間の中で、いったい何が自分を突き動かしていくモチベーションになるんだろう、と思うんです。錦戸(亮)くんの演じる真野や、新木(優子)くん演じる沢口と関わっていくことで、影響を受ける部分もあるかもしれないけれど、歯を食いしばって刑事の道を歩んできたという気概だけは、忘れずに演じようと思っています。
次回公開の船越英一郎さんインタビュー#2ではプレゼントのお知らせもあります!
取材・文:鈴木知子
撮影:鷹野政起
お台場 ダイバーシティ東京 プラザにて『トレース展』開催中!
『トレース~科捜研の男~』
毎週月曜午後9時~放送
原作:古賀慶「トレース~科捜研法医研究員の追想~」(ノース・スターズ・ピクチャーズ「月刊コミックゼノン」連載)
脚本:相沢友子
出演:錦戸亮、新木優子、山崎樹範、岡崎紗絵、矢本悠馬、加藤虎ノ介、山谷花純、・小雪・遠山俊也、篠井英介、千原ジュニア・船越英一郎ほか
